ラパトル

Rapator

R. ornitholestoides(由来不明. オルニトレステスに類似したもの)

 

記載: von Huene, 1932

産出: オーストラリア New South Wales/Lightning Ridge, Griman Creek層(NMVP186076 : Victoria, Eumeralla層)

ホロタイプ: BMNH R3718(左前肢第一指の中手骨)

産出部位: 左前肢第一指の中手骨(可能性のある標本として左尺骨NMVP186076、尾椎中部AM F112816、尺骨の近位部分・前肢末節骨・腸骨・腓骨・第三中足骨・肋骨・腹肋LRF100 –106

 

[形態]

全長4-5mAAOD)、〜6mLRF100 –106をラパトルに含める場合)

LRF100 –106がラパトルであった場合、既知のアウストラロヴェナトルより約10%大きく、オーストラリア最大の獣脚類となる

 

ラパトルの中手骨はアウストラロヴェナトルの中手骨と以下の特徴で区別できる。

・背側の突起はアウストラロヴェナトルのものより近位にある

・近位内側突起はわずかに幅広

・アウストラロヴェナトルの中手骨は外側が遠位顆の直下から背外側突起の近位端まで直線に近いのに対し、ラパトルでは軸が内側に僅かに反る

・内側顆の近位に丸みを帯びた隆起が見られる

・腹側突起は浅く反る(保存状態の産物の可能性)

・近位-中央の突起は腹側が平坦(保存状態の産物の可能性)

・内側顆の角度がアウストラロヴェナトルの約20°より背腹側にある

・外側顆の内側が直線的

・関節面に顕著な内側隆起がない

 

NMVP186076はアウストラロヴェナトルの尺骨と以下の特徴で区別できる。

・遠位に伸びる近位-尾側に拡大したブレード状の肘頭突起をもつ

・明瞭な外側結節がある

・尺骨の尾縁が尾側に反っている

・尺骨は骨幹部背側表面に沿って側方にある溝が欠如

・アウストラロヴェナトルでは遠位端は横方向に広く、内側に大きく膨らむ

 

LRF100 –106はアウストラロヴェナトルと以下の特徴で区別できる。

・手根骨I或いはIIの近位関節領域を細分する中央隆起が鋭い

・遠位関節面と中足骨IIIの伸筋窩の境界が明瞭

・中足骨IIIの近位部は非対称で、縦方向から見て鉄工ハンマー状

・中足骨IIと中足骨IIIの近位接点は縦溝によって細分化されており、アウストラロヴェナトルの肋骨は頂部で背腹方向の顕著なくびれを持つが、LRF100 –106では弱い(保存状態の産物の可能性)

 

[分類の変遷]

獣脚類(1932

アベリサウルス類(1992)

アルヴァレズサウルス類(2004

コエルロサウルス類のテタヌラ(2010

メガラプトラ(2012

 

LRF100 –106

最基盤のメガラプトル科(2022

 

[共存していた可能性のある恐竜]

R.ornitholestoides

獣脚類ワルゲットスクス(Walgettosuchus)、不明なノアサウルス科

鳥盤類フォストリア(Fostoria)、フルグロテリウム(Fulgurotherium)、ウェエワルラサウルス(Weewarrasaurus)、不明な曲竜類

不明な竜脚類

ワルゲットスクスはラパトルと同種の恐竜に由来する可能性が指摘されているが、化石証拠が重複しないため比較は不可能である

 

NMVP186076

獣脚類ティミムス(Timimus)、エラフロサウルス亜科、アウストラロヴェナトル(Australovenator)を含む複数のメガラプトラ

鳥盤類アトラスコプコサウルス(Atlascopcosaurus)、ガルレオノサウルス(Galleonosaurus)、ディルヴィクルソル(Diluvicursor)、レアエリナサウラ(Leaellynasaura)、不明な曲竜類

 

[参考文献]

Theropodahttp://theropoda.blogspot.com/2015/09/il-piu-grande-theropode-australiano-e.html?m=1http://theropoda.blogspot.com/2008/09/e-se-huene-avesse-ragione-ovvero-mega.html?m=1

 

Australian Age of Dinosaurshttps://www.australianageofdinosaurs.com/page/90/australian-age-of-dinosaurs-rapator-ornitholestoides

 

Matt A White2013)(https://www.researchgate.net/publication/303210113_Morphological_comparisons_of_metacarpal_I_for_Australovenator_wintonensis_and_Rapator_ornitholestoides_implications_for_their_taxonomic_relationships

 

Phil R. Bell , Andrea Cau, Federico Fanti, Elizabeth T. Smith (2016)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1342937X15002026

 

Tom Brougham , Elizabeth T. Smith and Phil R. Bell(2019)https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.180826

 

theropod database(https://theropoddatabase.com/Coelurosauria.htm)