ワルゲットスクス

Walgettosuchus

W.woodwardi(ウォルゲットのワニ.アーサー・スミス・ウッドワードに献名)

 

記載: von Huene, 1932

産出: オーストラリア New SouthWales/Lightning Ridge, Griman Creek

ホロタイプ: NHMUK R3717(孤立した遠位尾椎)

 

[形態]

ホロタイプの長さは63mmHueneは細長い関節突起をもつとしたが不明。

単一の尾椎による分類群であるため、姿や大きさを推定することは事実上不可能である。

 

[分類の変遷]

オルニトミモサウルス類との関連(1932

ラパトルと同一の可能性(1970

不確実な獣脚類,疑問名(1990

不確定な獣脚類(2010

白亜紀の獣脚類は鳥嘴類(averostra)しか知られていないため、詳細な分類は未定ながらワルゲットスクスも暫定的に鳥嘴類に割り当てられる。

 

[共存していた可能性のある恐竜]

獣脚類ラパトル(Rapator)、不明なノアサウルス科

鳥盤類フォストリア(Fostoria)、フルグロテリウム(Fulgurotherium)、ウェエワルラサウルス(Weewarrasaurus)、不明な曲竜類

不明な竜脚類

ワルゲットスクスはラパトルと同種の恐竜に由来する可能性が指摘されているが、化石証拠が重複しないため比較は不可能である

 

[参考文献]

Theropod database

https://www.theropoddatabase.com/Neotheropoda.htm#Walgettosuchuswoodwardi

 

Australian Age of Dinosaurs

https://www.australianageofdinosaurs.com/page/95/australian-age-of-dinosaurs-walgettosuchus-woodwardi

 

Dinodata

https://dinodata.de/animals/dinosaurs/pages_w/walgettosuchus.php

 

Stephen F. Poropat, Phil R. Bell, Lachlan J. Hart, Steven W. Salisbury & Benjamin P. Kear2023

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03115518.2023.2228367?scroll=top&needAccess=true&role=tab

ラパトル

Rapator

R. ornitholestoides(由来不明. オルニトレステスに類似したもの)

 

記載: von Huene, 1932

産出: オーストラリア New South Wales/Lightning Ridge, Griman Creek層(NMVP186076 : Victoria, Eumeralla層)

ホロタイプ: BMNH R3718(左前肢第一指の中手骨)

産出部位: 左前肢第一指の中手骨(可能性のある標本として左尺骨NMVP186076、尾椎中部AM F112816、尺骨の近位部分・前肢末節骨・腸骨・腓骨・第三中足骨・肋骨・腹肋LRF100 –106

 

[形態]

全長4-5mAAOD)、〜6mLRF100 –106をラパトルに含める場合)

LRF100 –106がラパトルであった場合、既知のアウストラロヴェナトルより約10%大きく、オーストラリア最大の獣脚類となる

 

ラパトルの中手骨はアウストラロヴェナトルの中手骨と以下の特徴で区別できる。

・背側の突起はアウストラロヴェナトルのものより近位にある

・近位内側突起はわずかに幅広

・アウストラロヴェナトルの中手骨は外側が遠位顆の直下から背外側突起の近位端まで直線に近いのに対し、ラパトルでは軸が内側に僅かに反る

・内側顆の近位に丸みを帯びた隆起が見られる

・腹側突起は浅く反る(保存状態の産物の可能性)

・近位-中央の突起は腹側が平坦(保存状態の産物の可能性)

・内側顆の角度がアウストラロヴェナトルの約20°より背腹側にある

・外側顆の内側が直線的

・関節面に顕著な内側隆起がない

 

NMVP186076はアウストラロヴェナトルの尺骨と以下の特徴で区別できる。

・遠位に伸びる近位-尾側に拡大したブレード状の肘頭突起をもつ

・明瞭な外側結節がある

・尺骨の尾縁が尾側に反っている

・尺骨は骨幹部背側表面に沿って側方にある溝が欠如

・アウストラロヴェナトルでは遠位端は横方向に広く、内側に大きく膨らむ

 

LRF100 –106はアウストラロヴェナトルと以下の特徴で区別できる。

・手根骨I或いはIIの近位関節領域を細分する中央隆起が鋭い

・遠位関節面と中足骨IIIの伸筋窩の境界が明瞭

・中足骨IIIの近位部は非対称で、縦方向から見て鉄工ハンマー状

・中足骨IIと中足骨IIIの近位接点は縦溝によって細分化されており、アウストラロヴェナトルの肋骨は頂部で背腹方向の顕著なくびれを持つが、LRF100 –106では弱い(保存状態の産物の可能性)

 

[分類の変遷]

獣脚類(1932

アベリサウルス類(1992)

アルヴァレズサウルス類(2004

コエルロサウルス類のテタヌラ(2010

メガラプトラ(2012

 

LRF100 –106

最基盤のメガラプトル科(2022

 

[共存していた可能性のある恐竜]

R.ornitholestoides

獣脚類ワルゲットスクス(Walgettosuchus)、不明なノアサウルス科

鳥盤類フォストリア(Fostoria)、フルグロテリウム(Fulgurotherium)、ウェエワルラサウルス(Weewarrasaurus)、不明な曲竜類

不明な竜脚類

ワルゲットスクスはラパトルと同種の恐竜に由来する可能性が指摘されているが、化石証拠が重複しないため比較は不可能である

 

NMVP186076

獣脚類ティミムス(Timimus)、エラフロサウルス亜科、アウストラロヴェナトル(Australovenator)を含む複数のメガラプトラ

鳥盤類アトラスコプコサウルス(Atlascopcosaurus)、ガルレオノサウルス(Galleonosaurus)、ディルヴィクルソル(Diluvicursor)、レアエリナサウラ(Leaellynasaura)、不明な曲竜類

 

[参考文献]

Theropodahttp://theropoda.blogspot.com/2015/09/il-piu-grande-theropode-australiano-e.html?m=1http://theropoda.blogspot.com/2008/09/e-se-huene-avesse-ragione-ovvero-mega.html?m=1

 

Australian Age of Dinosaurshttps://www.australianageofdinosaurs.com/page/90/australian-age-of-dinosaurs-rapator-ornitholestoides

 

Matt A White2013)(https://www.researchgate.net/publication/303210113_Morphological_comparisons_of_metacarpal_I_for_Australovenator_wintonensis_and_Rapator_ornitholestoides_implications_for_their_taxonomic_relationships

 

Phil R. Bell , Andrea Cau, Federico Fanti, Elizabeth T. Smith (2016)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1342937X15002026

 

Tom Brougham , Elizabeth T. Smith and Phil R. Bell(2019)https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.180826

 

theropod database(https://theropoddatabase.com/Coelurosauria.htm)

アニクソサウルス

Aniksosaurus

A. darwini(春のトカゲ.チャールズ・ダーウィンに献名)

 

記載: Ruben Dario Martinez and Fernando Emilio Novas‭ ‬-‭ ‬2006.

産出: アルゼンチン チュブ州/Bajo Barreal層下部

ホロタイプ: MDT-Pv 1/48(大腿骨、脛骨、中足骨、指骨を含む関節した右後肢)

産出部位:四肢、椎骨、腸骨

 

[形態]

全長2m体重65kg2006)〜全長2-3m体重35-45kg2013

前肢に頑丈な鉤爪を持つが、シックルクローではない。

腕と後肢はよく発達している。

軟組織の直接の産出はないが、おそらく身体の大部分は羽毛に覆われていた。

 

ホロタイプ標本の大腿骨は長さ247mm、脛骨は長さ270mmで、平均して脛骨は大腿骨より13%長い。

大腿骨と後肢の他の部位の保存状態が大きく異なるため鳥のような脚鞘(podoteca)があったと考えられる。

 

以下の固有派生形質を示す(恐竜パンテオンより引用)

・神経弓柄部が異常に深い頚椎骨(椎体高の2.5)

・頚椎骨の広い神経管

・腹側に矢状隆条がある前位尾椎骨

・手の末節骨は頑丈

・腸骨のbrevis shelfは外腹側に膨大

・恐らく腸骨転子筋の付着のために、強度な陥凹と皺が大腿骨近位尾外側表面にある

・第四中足骨とそれに相応する趾骨横断面は狭い

 

[生態]

少なくとも5体の亜成体から成る骨層(bone bed)が発見されている。

骨層は群れを成す社会的な動物であったことを示し、群れを作ることで効率的な狩りや外敵からの防御の効果があったと考えられる。

発見されている個体が亜成体であることから、群れ行動は生涯を通しての性質ではなく、成長段階の一時期にのみみられたものの可能性がある。

 

大腿骨の一つには小型ワニ類のものと見られる歯形が残っている。

 

[分類の変遷]

コンプソグナトゥス科・オルニトレステス・コエルルス科より派生的な基盤コエルロサウルス類2006

コンプソグナトゥス科の近縁(2010

マニラプトル類外のマニラプトル形類(2019

基盤メガラプトラ(2022

 

[共存していた可能性のある恐竜]

ゼノタルソサウルス(Xenotarsosaurus)を含む少なくとも3種のアベリサウルス科

竜脚類アンデサウルス(Andesaurus)、カンピロドニスクス(Campylodoniscus)、エパクトサウルス(Epachthosaurus)カテペンサウルス(Katepensaurus)、サルミエントサウルス(Sarmientosaurus)及び不明なレバキサウルス科

鳥脚類ノトヒプシロフォドン(Notohypsilophodon

 

 

[参考文献]

生物の進化大図鑑(河出書房新社

 

PREHISTORIC WILDLIFEhttp://www.prehistoric-wildlife.com/species/a/aniksosaurus.html

 

Dinodatahttps://dinodata.de/animals/dinosaurs/pages_a/aniksosaurus.php

 

Noticias de Paleontologíahttps://noticiasdepaleontologia.blogspot.com/2020/10/aniksosaurus-darwini-exhibidos-en-el.html?m=1

 

BioOnehttps://bioone.org/journals/ameghiniana/volume-50/issue-6/AMGH.23.08.2013.617/Tafonom%c3%ada-del-Dinosaurio-Ter%c3%b3podo-Aniksosaurus-darwini-Formaci%c3%b3n-Bajo-Barreal-Cret%c3%a1cico/10.5710/AMGH.23.08.2013.617.short

 

恐竜パンテオンhttp://www.dino-pantheon.com/backyard/news/20070408Aniksosaurus.html